第1章―3

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 職場から駅に向かって歩いていた。みゆきの予約してくれた店へと向かっている。  金曜日の夕方6時。当日の昼に召集をかけたにも関わらず、仲の良い4人組みの都合が揃ったことは珍しい。ひとえにみゆきの努力と情熱の結果だと思いたい。いや、違う。店に人が来る午後4時頃を見計らって、社長令嬢(?)としての権限で、仕事中にも関わらずみゆきが店に予約を入れてくれたのだ。 「人数は4人でお願いします」  生返事した裕もしっかりと人数に入っていた。残りの二人――谷博美(たにひろみ)安部真由美(あべまゆみ)も、実際の所の都合は分からない。みゆきに乗せられた形なのだ。  桜が咲いている頃には暖かかったり寒かったりで差の激しかった気温も、ようやくこのところ安定してきていた。それに合わせるように、皆の服装も春を思わせる明るいものに変わり、上着も薄いものを1枚羽織るに留まっていた。  道中、服装の話になり、暑がりの谷が、中はキャミソールだと告白した。
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