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予約していた店まであと10分弱というところで、異変が起こった。
細い路地から駅前の大通りに出たところだった。同世代のやはり4人組みの男性グループとばったりと鉢合わせた。
ただすれ違うと思いきや、男の中の一人が、みゆきの顔を見て声を上げた。
「中山じゃねぇ?」
ただでさえ薄暗い道だ。すぐにはみゆきもピンと来ない。
「えっと……」
「ほら、高校で同じクラスだった酒井だって。酒井康男。覚えてない?」
縦にも横にも大きな男だった。短髪で髪を立てている。
数秒の間隔の後、あぁ、とみゆきも声を上げた。
「あぁ、柔道部のヤス!!」
「そうそう、俺俺、俺俺詐欺ーなんつってー」
「久しぶりじゃない。元気してた?」
「俺のギャグは無視かい」
返事するに値しないから。そうみゆきはさらりと言ってのける。
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