第1章―4

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 長机に4つずつイスが並べられていた。男女が4対4ということもあって、それぞれ向かい合うように座らされている。  テーブルを挟んだ先には初対面の男性。先ほどから脂汗が止まらない。できるだけさりげなくハンカチで額を拭っているが、久しぶりに手が震えてしまっていた。バレないように手は机の下に隠している。 「暑い?」  隣にはみゆきが座ってくれた。そのみゆきがそんなことを言ってくるものだから、キッと睨みつけてやった。それでようやく察したようで、無理だったら先に帰りなよと耳打ちしてくれていた。 「うん、分かってる」  そう頷けたことで、少しばかり心が軽くなった。  最初はすぐにでもその言葉に甘えようと思った。何か理由をつけてさっさと帰ってしまおうと。  でも、道すがらのみゆきの態度がずっと気になっていたのだ。
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