第1章―1

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 仕事を再開して10分ほど集中していると、不意に肩を叩かれた。 「(ひろ)、休む時はちゃんと休みなさいよ」  職場である中山部品。そこの一人娘でもある中山みゆきだった。サラサラと長い髪の毛。南国系のはっきりとした顔。一言で言って美人。すれ違えば、きっと誰でも一度は振り返るくらいに、完成された美。 「キリがつかないと気持ち悪いから」 「相変わらず完璧主義者だね。あんまり完璧を追求すると、そのうち脳みそ腐るよ」  ケラケラとみゆきは笑う。美人だけど、気さくな性格。面倒見も良くて、姉御肌。頼りがいもある。だからついつい甘てしまう。依存してしまう。  あ、そうそうと思い出したように、みゆきはノートパンコンのキーボードの上に、開いたままの雑誌を差し出した。
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