第1章―2

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 確かに綺麗だと思う。仄かな薄ピンク色を計算され尽くした角度でおさめられた写真。しかしその写真に感動する以前に、どこかでこれと同じ写真を見た気がして仕方がないのだ。  銀行でタダで貰ったカレンダーだろうか。いや、自分の部屋に去年まで飾ってあった奴かもしれない。でも、あれには花の写真はなかったはずだ。だったら――と思い起こし、つい数ヶ月前まで職場の事務所に貼られていたものだったかもしれないと、そんなことを考えている間に、みゆきはさっさと他の仲の良い同僚の方に雑誌を見せに行ってしまった。  飲みに行こう。今年は結局、花見できなかったし。うん、それがいい。そうしよう。
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