薔薇の棘って毒がある?

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「え?……あ、ごめ……」 佐々木も驚いたような表情で動きが止まってしまっている。 俺は自分のした言動に唖然としながら、必死に笑顔を作り出して煙草の箱を鞄に放り込んだ。 「いや、その……、これ、借り物で、さ」 不自然な笑みを引きつらせながら、出されたアルコールを一気に喉に流し込む。 やけに熱く感じて、激しく噎せた。 「俺こそごめん。なんか珍しいなぁ、と思って。新藤がそんな煙草持ってんの。火もライター派だろ?」 「だ、だーかーら、預かり物だって。こんなクソまじー煙草誰が吸うかよ。ジッポとか、おっさんかっての!」 背筋を冷や汗が伝う。 何した?何で叫んだ?俺、どうしちまったんだ? 「さ、佐々木、歓迎会だけどさ、やっぱもう花見って感じでもねーし、居酒屋予約でいいんじゃねーかなー?な、どう思う?」 うまく笑えない表情誤魔化すために、タブレット掴んで適当に居酒屋を検索する。 「あ、ここなんて良くね?会社の近くだし。な?ここにしよ?」 流石の鈍感な佐々木も、俺の姿が尋常じゃないと気付いたのか、不気味そうに距離感保ちつつ、ちょっと引き気味に何度か無言で頷いた。 佐々木に気味悪がられるなんて、俺も落ちぶれたもんだぜ……。 あの時は、ホントどうかしてたんだ。 気の迷い。 そう。気の迷いなんだ。 だって俺は。 だって俺は。 女のコがダイスキなんだからーーーーーーーー!!!!!
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