毒はいつしか蜜の味

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「犯罪?上等ですよ。僕と桐原主任の邪魔をするなら、犯罪だろうがどんな手を使ってでも貴方を僕らの前から排除しますから」 こいつ……、ヤバい。 一瞬でアルコールが飛んだ。 「榎本ーー、こっち来て酒つげー」 頭が湯気まで見えるほどに真っ赤に変色したタコ部長の馬鹿でかい声で、俺は我に帰る。 「部長~、僕、コンパニオンじゃないんですから~」 多重人格の如く一瞬にして猫撫で声を張り上げると、今目の前にいた魔女はあっという間に再び妖精に変身した。 その変わり身の早さに度肝を抜かれ、俺は唖然としながら榎本を二度見する。 「じゃ、そういう事ですので。宜しくお願いしますね?センパイ?」 俺にだけ見えるような角度からじっとりとした黒笑浮かべると、首を傾げて会釈の真似事をしてからその場を立ち去って行った。 俺は、恐ろしい奴を敵に回しちまったのかもしれない。 すっかり酔いが醒めて冷えきった身体を温めるがごとく、俺は目の前のビールを思い切り喉に流し込んだ。
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