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正直、K製薬会社との契約は難航していた。
向こうの担当者とどうにもソリが合わず、なかなかGOサインを出してもらえない現状。
どうやって突破口を見出すか、考えあぐねいていた所だった。
「何か勝算があるんですか?」
ソファのような座席に身を沈めたまま、運転に集中しているのか無言のままの桐原を見上げて尋ねる。
桐原は少しだけ窓を開けると、右手で器用にハンドル動かしたまま、左手で内ポケット弄り、いつもの煙草を取り出す。
慣れているのだろう。片手で器用に取り出した煙草を口に咥えると、これまた器用に火を付けて紫煙を吐き出した。
「勝算なんてねェよ。相手の出方を見るまでだ」
「……ふーん…」
こんな無愛想で営業成績一番なんだから、ホント不思議だ。一体どんな手使って契約取ってるのやら。
お手並み拝見といきますか。
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