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俺。
新藤冬馬。
23歳。
自他共認める女のコダイスキお祭りオトコ。仕事より何より恋愛最優先。
入社から目を付けてた総務部のアイドル、あやちゃんに、ようやくデートのアポイント取り付けれるかどうか……の所まで漕ぎ着けたのに。
「誤字だらけだ。小学校から出直せ」
鬼上司は乱雑に、分厚いだけの資料を投げ寄越した。
「昨日徹夜で仕上げたのに」
「無駄な一夜を過ごしすぎだ。誤字脱字、直して今日中に俺の所に持って来い」
「今日中!? ムリムリムリムリ!!!今日やっとあやちゃんがデートオッケーしてくれたんだから!定時で帰らせろよ!横暴!職権乱用!」
「なんとでも言え、糞餓鬼が」
俺の渾身の悪口にも無表情のまま一瞥しただけで物ともせず、仕立てのいいスーツ翻して去っていく大嫌いなあのオトコ。
桐原亜久。
27歳。
若くして主任に抜擢された超エリート上司。
仕事は出来るが人の心を持たずして生まれて来た、俺から言わせればとんでもない鬼上司。
ただ。
ーーーー、すっげー美人なの。
男に美人って使うのは、この人以外いないんじゃないかって思うほどの超絶美人。会社にファンクラブ出来ちゃうほどのね。
俺だって、大学ん時は入れ食いの新藤って呼ばれるくらいお持ち帰りは常習の男だったのに、アイツの前じゃあ悔しいけど霞む。
仕事も出来て、超絶カッコよくて、そのくせ女の影すらなかったら、そりゃあもう、会社の女のコ達キャーキャーですよ。
あーあ。
あやちゃんとのデートはキャンセルだよ、ちくしょー。
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