はるかちゃん

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 残念なことに秀一は写っていない。秀一も写っていればはるかが好きなのは秀一だ!っと言い返せたのだが・・・。 「本当にいじらしい子よね。ツーショット写真をこっそり待ち受けにしていたなんて」 「ツ、ツーショット・・・ですか?」  俺が一人写っているだけでもドン引きしているのに、ツーショットだと?  はるか母が指差す場所を見れば、俺のかなり後ろの方ではるかがこっちを見ていた。長い髪の間から俺の方を見ている・・・そんな風にも見えて少しゾッとした。  俺とはるか母のやり取りをもう一人くじ引きで選ばれた奈々美がチラチラと見ていた。明日、学校に行ったら・・・イヤ。葬儀が終わった瞬間にでも「はるか、拓海が好きだったんだって~(笑)」なんてメールをクラス中に送信しそうだ。  俺は棺の中のはるかを見るでもなく、葬儀が終わると早々に帰路についた。
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