光と闇の心

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僕は部下。 部下という肩書は周りからの呼び名。だけど、上司の金子さんは僕のことを”部下”とは呼ばない。 「部下は堅苦しいだろ?僕は嫌いだ。僕より上の者からの呼び名なんて偉そうにして・・・」 っていつも言う。 もう耳にタコができるぐらい聞いた。 僕はだから好き。恋愛って意味ではないけど、人間的にってこと。 ・・・・何の話をしてるんだろ? 今日は金子さんからの指令である。 その指令のためにある人物のもとへ行った。僕的にはあまり会いたくない人間である。 もう人間ではない。”人間ならざる者”かもしれない。 地下の部屋に行き、監視員の許可をもらい僕は奴がいる檻の前に着いた。 「おはよ。目覚めはいかがかな?」 「君は・・・確か、金子さんの部下の」 「西勇輝です。あ、僕は金子さんの部下であって相棒でもあって弟でもあって・・・」 気づくころにはまたしゃべりすぎた。僕の癖である。 「今日の世話役は君かな」 「その通りです。あなたは僕たちを殺すことはできない。僕たちもあなたを殺すことはできない。それゆえに誰かが世話を担当するんです。」 彼は一時期世の中を話題にさせた「天才犯罪者」。証拠、手がかり、手出しもせずに心に闇を抱く人間を巧みに惑わし、犯罪を犯させる。 自分はほんの手助けのみ。彼の言い分は「手を出さず、罪を犯す」。誰も気づかないところで。「闇の者は闇で動く」だとよ。 僕には思考がわからない。 「どうしてたくさんの罪を犯したのに僕を殺さない?」 「上司の皆さんは”生かしてこそ罪を償える。殺すのはもったいない”だとよ。」 「それは金子さんの言葉か?」 僕は思わずもたれていた壁からずり落ちた。 ”なんでわかったのだろう”って。 「わからないけど、金子さんはお前を殺そうと、死刑にしようとしない。殺したら終わりだから。」 「フフッ。彼も趣味が悪いな。」 「本当に。だけど、そんな簡単な理由だと僕は思わない。もっと金子さんが思ってる以上に僕らにはわからない深い理由があるのかも。」 僕はなぜか素の考えを述べた。普段では考えられないのに。
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