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僕は檻に近付き、奴の身体チェックをした。まぁ、何ともないけどね。
すると奴は僕の顎を持ち、耳に何かをささやいた。
「・・・・・え?」
僕は聞いた内容で唖然としてしまった。
「君の心は純粋で無垢な心。それゆえに闇がかえって濃いのを知ってるか?」
まさかの言葉に少し動揺してしまったのか、奴の檻に当たってしまった。
「おまえは金子さんの何を知っている!?」
「ククク・・アハハハハハっ!!そんなに慌てるなよ。」
「金子さんはお前のような者と一緒じゃない!!僕らの・・・僕の金子さんだ!!」
僕は今まで溜まっていた何かを全て吐き出してしまった。うかつであった。
すると奴は両手で僕の頭をつかんだ。
「彼は君の闇を引きづり出し、ぼくと同じことをたくらんでいる。人は人格や見た目で判断しないほうがいい。人は深くに眠る人格を現してこその人だ。そうだろう?
君の心の闇も簡単に引き出せる・・・お前は利用されてるんだよ。」
「嘘だあああああっ!!離せええっ!!」
僕は奴に掴まれていた手を離そうと、振りほどいた。
あの金子さんが僕を利用している!?
そんなの絶対信じない。これは罠だ。奴の巧みな言葉なんだ。
「今日はこの辺で。また・・・・また、いつか来ます。」
「僕は動けないからいつでもどうぞ。西勇輝クン。」
僕は頭が真っ白になっていた。僕に闇の心?金子さんが僕を利用している?
バカバカしい。
僕はしばらく前が見えていなかった。目は見えているのに見えていない。この感触。
「よ。世話役ありがとな。」
第1課の部屋に戻ると金子さんが紅茶を飲みながら僕に話した。
さっきの言葉が頭によぎる。僕はそれを忘れようとするのに必死であった。
「僕は金子さんの相棒ですからね!これぐらいなんともないですよ!」
――――君を利用している。
僕は信じない。金子さんは僕の上司であって、相棒であって、兄貴みたいな存在であって・・・。
「次の用事に行くぞ。」
「ハイ!!」
「・・・フフッ。心の闇を引きずりだすのは簡単。種はまいた。あとは育つのみ。
さて、どうやって水を与えようか。」
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