2人が本棚に入れています
本棚に追加
「西、闇ってなんだと思う?」
いきなりの質問に西は戸惑った。
「闇ってのは暗くて・・・。もの悲しくて、寂しくて、残酷で、怪しくて・・・。人の心に関連付けるなら“自分の裏の人格”でしょうか?」
「自分の裏の人格・・。」
それを聞いたとき自分の裏の人格は何だろうと考えてしまった。僕の性格からしたら裏の人格は・・・。
「暴力的な人・・・?」
「え?」
僕がふと出した言葉に西はびっくりしていた。
「いや、僕の裏の人格は何だろうと思って。」
「千尋さんの裏の人格も素敵だと思います!!」
西はきらきらした目で僕の顔に近付いた。手もぎゅっと握ってきた。
「千尋さんは裏も表もないと思います!あったとしてもすべて僕が受け止めます!」
何コレ・・・。ちょっとした西のアレも入ってるし。まぁ、僕的にはそういうところも好きではあるが。恋愛的にではない。人間としてだ。
「なぁ・・・?西は闇に堕ちるなよ?」
「僕は大丈夫です!奴にも負けませんよ!僕に一部の隙もなーーーーい!」
西は天井に向けて万歳をして大声を出した。いつもポジティブな西勇輝。
僕にはうらやましく思う。
西は落ち着いたところで自分の席に着いた。
「闇。心の闇は僕にはまだまだ理解できないな。ただ言えることは奴や、自身の心に闇を持ったものが一線をを越すことを僕らが止める。罪を犯す前に・・・。」
犯罪者は小さな罪を犯した者でも僕は嫌いだ。
―――――――――
「闇。僕は利用されている。」
西のつぶやいた言葉は第1課に吹き込む風にかき消された。
その風は少し肌寒かった。
最初のコメントを投稿しよう!