闇の手助け

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「人の死ほど綺麗なものはない」と僕は思う。 どれだけ大富豪であろうとどれだけ貧民だろうとどれだけ偉大だろうとどれだけ一般的であろうと死は平等にやってくる。 僕の考え方がどれだけみんなと違おうが関係ない。思考は人の自由である。 だが、僕は自らの手を血で染めない。直接的には。 手助けをする。人の心の知られざる闇を引きずり出し、それを増し、殺意を出させる。 ・・・なんて簡単なこと。人の心とは実に脆く儚い。だからこそ、その隙間につけ込みやすいのだ。 「久しぶりだな、元気にしていたか」 見知った顔が来た。僕をこの暗い檻の中に入れた本人が。 「あぁ。いつも通りだよ、刑事さん」 彼は確か刑事第1課の金子さん。いや、あの顔立ちと髪型は忘れるハズがない。 「僕に何か用かな?」 「情けない話だが、お前の力を借りたい」 僕に力を借りるということは難攻している事件でもあるのか。 「この僕にか?」 「お前なら解決に導いてくれそうな気がするんだ」 金子さんは檻の柵に手を伸ばし僕に近づいてきた。 「いいよ。だが、条件がある」 勿論、タダとは言わせない。理不尽すぎるだろう?まぁ、あちら側的には来るとは思っていたが。 「条件は何だ?」 「僕をここから解放し、僕の言うことを聞く。至って簡単なお話だろう?」 金子さんは突然フフッと笑い出した。彼はもっと厳しい条件を言ってくると覚悟の上だったのだろう。 「本当にそれだけか?」 「あぁ、僕はそれだけで十分だよ」 金子さんは僕を檻から出してくれた。手は拘束されたけどね。 「いつもの相方さんは?」 「今は不在。そんなに会いたかったのか?」 彼には心の闇が見える。いつもニヤニヤヘラヘラしているが、そういうやつに限ってかえって闇は濃い。
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