第1章

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 これはひょっとすると僕を目撃したと言う送信者の、勘違いなのかも知れない。 あの晩は梅雨で霧が発生して視界も悪かったのもあるから、それで僕が被害者を埋葬したかのように錯覚したのかも知れない、 だけど、 送信者が僕を山の中で見たと言っていたな、だとすると、送信者も僕と同じように山の中にいたと考えられる。 じゃあ…送信者は何の為に6月31日の晩に山に行ったんだろうか? 僕を殺人犯の容疑者に仕立て上げるつもりだったのか。詰まりは冤罪が目的。 となれば、本来の罪は送信者にある事になる。 偶発的に其処に僕と言う鴨が来て、遺体を埋めたのが、こいつには好都合だった訳だ。 待てよ。僕に脅しのメールをして来たと言う事は、犯人自ら犯行を自供したようなものじゃないか。 自首しても僕が犯人でない証拠があがればこの脅しには全く意味が無くなってしまう。 犯人がもし、其処まで計算しているのならば、わざわざ墓穴掘るような脅しをするだろうか。 否――。 犯人は霧で視界が悪くなったのを利用して僕に被害者の……。 と考えるなら僕が埋葬した遺体は何の遺体だったのだろうか? 6月31日の記憶が混乱して来る。
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