第1章

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 「あなたが自首しないのなら私があなたを通報します」  勝手に話を進めて何様の積もりなのだろうか。  「いい加減にして下さい。僕は殺人は犯してません。犯人あなたで■」  僕は我慢出来ずにメールの文章を打ち込んだ。 冗談じゃない。身に覚えの無い罪で捕まるなんて真っ平ごめんだ。 これ以上、送信者の思う通りにさせてたまるか。 文章を打ち終え、送信ボタンを押そうとすると、 パトカーが僕の家の前をけたたましくサイレンを鳴らしながら通り抜けた。 ひょっとして、もう通報されたのか? そう思って窓のカーテンをそっと開けると、パトカーは別の場所に停まっているでは無いか、どういう事だ?  「やったよ。俺。犯人通報してやったよ」  先程の送信者からメールが届く。通報って僕の事じゃないのか? だとすると危ない所だった。送信ボタン。押す所だった……。 どうやら送信者はアドレスを新たにした僕の友人で、本当に犯人を目撃したので脅しをかけたようだが誤って僕のアドレスに送信してしまったらしい。  「おめでとう。良い事したじゃん。変えたなら変えたって教えてくれよ」  文面を変更して送信する。  「悪い悪い。所でお前もあそこにいたよな。何を埋めてたんだ?」  了
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