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「これは何よりも大切なことなんですよ。仮音、貴女は邪魔しないでくれますか」
「邪魔するなって言われて、はい、そうですかと答えると思う?」
仮音の言葉に九十九は、やれやれと肩をすくめて言った。見解の相違ですねと呟いて、
「今回は、ここで手を引かせてもらいますよ。それにそちらの処理もしなくていいんですか?」
ゾワリと隠し部屋から、安室浪江だった者が現れた。片足を引きずりながら両目をドロドロと真っ黒な涙を流して助けを求めるように仮音に手に乗ばした。
「そんなものを放置しておいたら、さらに被害者が増えますよ。ほら、仮音、殺さなくていいんですか? その日本刀でね」
チッと仮音が日本刀を構え、安室浪江と対峙するうちに九十九は部屋の窓から外に飛び出した。
「待てっ!!」
ゾワッと窓から影が飛び出し、仮音が巻き込まれるのを見届けから九十九は振り返った。
「これはまだ、始まりでしかない。仮音。私を止められるなら止めてみるがいい」
パンッと本を開き、九十九は鉛筆で『迷い家』と書き込んだ。
「次は風神、雷神、この世界にどんなことを起こるでしょうね」
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