第十章

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映し出された時点で物凄い熱気。 生徒会長になってから更に人気をあげて来てる気がする。確実に。 …いよいよ麗と星野くんのラストランウェイ。 あ〜、この場から立ち去りたい。 でもこんな最前で、こんなタイミングで立ち上がって会場を後にする方が空気最悪よな… 諦めて大盛り上がりしてる中どさくさに紛れて帰ろ。 どうせ皆スタンディングオベーションだろ。 ここ、無駄にいい席すぎて嫌すぎる… 最前で麗とぶりっ子のカップルランウェイ見ないといけないの地獄過ぎない??? ステージから目を背け、少し下を向く。 次の瞬間、物凄い歓声が会場を埋めつくした。 あぁ、この盛り上がりは相当凄いことになってんな。 仕方がなく顔を上げ、薄目でステージに目を向けた。 そこには相変わらず息を飲むほどイケメンな麗と、小綺麗に着飾ったぶりっ子が並んでいた。 はぁ…相変わらずカッコよすぎるだろアイツ。 高身長イケメンのタキシード姿なんて誰が見たってときめくだろ。 そんな麗はぶりっ子の手を取りエスコート。 嬉しそうに、相変わらずぶりっ子全開で麗の横を歩く星野くん。 麗も満更ではなさそうな、イマイチ心情が読めない表情をしていた。 麗の事だから、ぶりっ子に対して無表情かと思ったが、全くそんなことはなかった。 …もしかして麗は本当に星野くんを…? いや、そうだとして何なんだ。 例え、今まで散々俺に懐いていたとしても、 真っ直ぐな好意を感じていたとしても、 嫌でも分かる程の大きな愛情を注いでくれていたとしても… それは過去であり、 もしかしたらただ単に、本当に俺の勘違いだっただけかもしれない。 そんなことあるか? あれだけの事をしておいて? いや…修学旅行を思い出せ。 あんな事になったんだ。 麗も俺が嫌になったのかもしれない。 だから未だに俺とは話さないし。 …でも、夏希が言うには俺の事を毎日話してるって。 それもあれか? 対人間に対しての感情ではなく、ペットか何かだと思ってるか? ダメだ、分からなすぎる。 麗の事が分からないし、 ここまで必死に理由を探している俺自身のことも全く分からない。 何をグルグルと考えているのか。 再びステージに意識を向けると、 先程より、一層近い距離に2人がいた。 ハッキリと見える。 嫌なくらいハッキリと。 そして最悪なことに麗と目が合ってしまった。 そんな俺からすぐ目線を逸らす麗。 なんだそれ。 俺なんて眼中に無いって? なんだ今更。 そして今度は星野くんと目が合った。 勝ち誇ったような、自信満々な表情。 見下されているのではないかとすら思う。 ダメだ…耐えられない。 次の瞬間、もう既に限界突破していた俺の目に飛び込んできたのは麗が星野くんをギリギリまで引き寄せる場面。
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