バレちゃいました・・・・。

46/51
前へ
/139ページ
次へ
「いや!」 私は叫び、後ずさります。 恐怖で身体が固まります。 私は、もう一度、その遺体を見ます。 香織さんではありませんでした。 私はさっきの想像を振り払うかのように、ブンブンと頭を振ります。 少し、息をととのえ、バスを見つめます。 警察とSATは? また、遠巻きにしているだけです。 突然、バスの中から身を乗り出して、自動小銃を警官隊に向け乱射しましたっ! しかし、警官隊、シールドを集めて、その銃撃に対処します。 周りの警察官たちは、野次馬を追い払うように、避難させてます。 私の方にも、避難するように言ってきました。 でも。 私はそこを動きたくなかったので、一歩ずつ、後ずさりします。 すると。 バスが動き出しました! 私は背筋が凍りついたように、バスを見つめます。 香織さん。 もしかしたら会えないかも? そんな悲しい結末を想像してしまいました。 警官隊がバリケードを開け、犯人たちの要求にこたえようとして、包囲をときます。 このままじゃ香織さんがっ!! ふと。 香織さんとの思い出が浮かびました。 昂揮さんのマンションで最初に出会った事。 器械体操で、頑張った日々の事。 そして、明日のバースデーケーキの事。 私の脳裏に。 テロリストたちが、人質を殺害する場面が浮かび上がります。 もし、あのテロリストたちが、無事逃げ出される手筈を整えていたら? まず、間違いなく、自分たちの顔を覚えられている人質を殺害するでしょう。 そのような最悪の状況を想像してしまいました。 じゃあ、香織さんはっ! 殺されるの? いやだ! そんなの、絶対にイヤッ! 私は、夢遊病者のように、香織さんの名前を呟き続けます。 ・・・。 ・・・。 ・・・。 ・・・。 めぐみさん。 光次お父さん。 私は。 約束を破ります。 最初で最後でいいですからッ! 神様! 許してくださいッ! ・・・・・・・。
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加