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「ここか」
俺は、香織を連れて結愛のマンションの前にまできた。
しかし・・・・・!
「嘘だろ・・・・・?」
結愛のマンション。
名前は『パークヒルズソレイユ横須賀』って言うマンション。
でかい!
つーか、これ、マンションではなく。
「噂には聞いていたけど、結愛って億ションに住んでたんだ・・・・」
香織も、そのマンションならぬ億ションに圧倒されてるのか、呆然として呟いた。
「ねえ?」
「うん?」
「あんた、彼氏って言っても芝居だったけど、結愛のマンションに来たことなかったわけ?」
半目のジト目で俺を睨む香織。
「あ、ああ。恥ずかしながら・・・・」
これは本当の話。
いつも、学校の帰り、送っていくんだけど、結愛のマンションのちかくで、最後は結愛。
『ここで、いいですよ昂揮さん。ありがとうございます』
と、深々とお辞儀されて、いつも一人で帰っていった。
結愛が、そういうから、とりあえず、まあ、いいかってなって、そうしていた。
めぐみ姉ちゃんに一度最後まで送らないといけないかなぁ~って思って聞いてみたら、
「結愛が、そうしてほしいって言ってるんだったら、そうしてやれ。くれぐれも、無理強いするな。結愛が嫌がること、悲しむこと、絶対にするな。それと結愛のマンションには絶対に近づくな。これは私からの命令だからな。もし破ったら、問答無用で左後ろ回し蹴りのクリティカルヒットバージョンを喰らわすからな、そのつもりでいろ」
と、なかば、脅迫のような感じで、約束させられた。
話は変わるけど。
香織、俺と一緒に結愛のマンションに行くために、事件現場から結愛のスマホを持って、こっそりと抜け出してきたそうだ。
本当は、警察からの事情聴取を受けなきゃならないそうだが、結愛の事が気になって、一緒について来てくれた。
この場所がどうしてわかったのかというと、結愛のバイト先の『リヘテンベルク』まで行き、店長の仲川守さんに頼んで教えてもらったからだ。
無論めぐみ姉ちゃんに先に、聞こうとしたんだけど、運悪くめぐみ姉ちゃんの携帯電話(なぜか、今どきガラケー)が、つながらなかった。
多分、約束を破ることになるので、左後ろ回し蹴りを喰らうことになるだろうけど、かまやしない。
結愛のことが心配だから、まず結愛が大丈夫かどうか、その事が大切だから。
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