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テロ事件の事。結愛がいなくなったことを、仲川さんに話したら、すぐに教えてくれた。
そこには、結愛がファムお姉さんと慕って、本当のお姉さんのように接しているファム・ティ・レンさんがいて、その事を話したらものすごく心配していた。
多分、お店の中で一番心配していたと思う。
そうして、俺と香織はこの億ションにやっとたどり着いたわけだ。
俺達二人は、とりあえず、この億ションにはいる。
でかいエントランス。
と、その前にオートロックなので、結愛の部屋の番号を入力して、呼び出す。
ベルの音。
・・・。
・・・。
返事がない。
よし!もう一度!
・・・。
・・・。
ブスっ。
つながった音が聞こえた!
『・・・・・・もしもし』
この声を聞いて、一安心。
結愛の声だ。
「結愛!結愛、私よ香織!モニターで確認してるわよね!開けてっ、話があるの!」
香織がたまらずに、俺をはねのけ、モニターにくっつかないばかりに必死になって結愛に呼び掛ける。
でも、返事がない。
音がしないので、まだ、モニターを切ってはいないようだ。
「あけて!とにかく会おう!話しよう!」香織が必死になって呼び掛ける。
しかし、そのまま。
俺も待ちきれずに、
「結愛、とりあえず、開けてくれ。顔を見せて」
香織とは対称に、落ち着いた対応をする俺。
しかし、結愛は無言。
俺も香織もそのまま。
そして、
『昂揮さん、香織さん、私、気分が悪いので明日、また『リヒテンベルク』で会いませんか?今日はちょっと・・・』
結愛が震えた声で答えてくれる。
しかし、香織はそれには気にせずにカバンから結愛のスマートホンを取り出した。
「じゃあ、これ見て」
香織が、結愛のスマートホンをモニターごしに見せる。
香織、真摯な顔つきになってる。
『あ、そ、それ!?』
結愛の驚いた声。
「これ、結愛のよね?バスの中で拾ったの。返したいから中いれて。そうしてくれなきゃ警察に渡すよ、それでもいいの?」
言い終わった後、キッとした眼差しでモニターを見つめる。
まるで、そこに結愛がいるかのように。
『あわはわ、あわはわ、あわはわ、・・・』
いつもの取り乱しよう。
モニターごしにでも、すぐにわかった。
そして。
『はい・・・わかりました。開けますので、来てください・・・・』
声が、ものすごく力がなく、怯え、震えている。
俺達は、結愛の待つ1313号室に向かった。
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