おぼえていますか?

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そして、孤独で淋しい日々が続きました。 私はそれに疲れてふと自殺しようと思い、外にある木で首を吊ろうとしたんです。 もう、生きていても仕方がありません。 死ねば、この淋しさから解放される。 私は何百人もの人を殺したんです。 マインドコントロールされていたとはいえ、私は罪もない人を殺めました。 だから、生きていては仕方がないから・・・・。 ふと、そう思い、首を吊ろうとシーツを紐状にして、台に上り手をかけたその時。 めぐみさんに突き飛ばされ、頬に平手打ちを受けました。 私はその時、はじめて人に叩かれました。 不思議な感覚でした。 見れば、めぐみさんが涙を流して、私を叱ってます。 私は・・・・。 涙が止まらず、両手で顔を覆い、止めどなく涙が流れてきます。 私は、その時の事を思い出し、涙が止まらなくて、仕方がなかったからです。 私はあの後。昂揮さんと香織さんに私の生い立ちを話していました。 そして、めぐみさんとの話になって、その時の事を思い出して話を止める事になったんです。 香織さん、ただ、私を暗い表情で見つめてます。 昂揮さん、私に目を背けて、何かに怒りを燃やしてるように見えます。 「めぐみさん、その時、私を抱き締めてくれて、『結愛はひとりぼっちじゃないよ』って言ってくれたんです。すごく、すごく、うれしかった」 私は泣き腫らした顔で、必死に微笑もうとしました。 でも、顔は涙と鼻水でグショグショになってました。 仕方なく、私は落ち着く事にして、顔を伏せ、涙が止まるのをしばらく待ちました。 しばらくして。 涙も、感動も収まり、顔を上げ、二人に説明を続けることにしました。 「その後。私は、お父さんとめぐみさんの願いもあって、日本での、一般人として同じような生活をすることを認められました。但し、清原光次さんの養子になることと、めぐみさんが、監視役としてついていくと、いう条件で」 やっと、涙が収まり、淡々と説明します。 「あと、もし、私の正体が露見したら、日本から、強制送還するという条件も」 この言葉に、場の空気はますます静まりました。 重苦しい雰囲気が、その場を支配します。 「香織さん?」 「?!」 私は香織さんに呼び掛け、真摯な眼差しでみつめます。 「今まで、黙っていてごめんなさい」 私は土下座するように、香織さんに謝ります。 香織さんは、それに驚き、戸惑っています
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