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「やっぱり、私は、ここにはいてはいけない人間だったんです」
私は溢れてくる涙をこらえきれることができずに、ポロポロと泣き出してしまいます。
「私は、生まれてきてはいけなかったんです。私は、私は・・・」
子供のように、私は泣きました。
全てを忘れるように。
いえ。
このまま、消えてなくなりたいと、思いました。
でも。
「結愛!」
香織さんの力強い声で、私は顔を上げます。
「私、結愛のこと、生まれてきちゃいけないなんて思ってないよ!」
「え?」
「わたし、結愛と出会って、よかったって思ってるもん!だって、結愛が、いなかったら、部活も楽しめなかっただろうし、結愛が勉強を教えてくれなかったら、また、赤点取ってたと思うし、それに・・・」
「それに?」
「結愛がいてくれたから、私、いじめらなくなって、嫌がらせも受けなくなったんだから!」
言った後、香織さんは涙を流しました。
「結愛が、先輩たちに言い返して、自分が犠牲になってくれたから、私に対するいじめもなくなったから。結愛が危険をおかして、バスに乗り込んで助けてくれなかったら今、こうしてここにいないかもしれないから・・」
「香織さん・・・」
「結愛、本当にありがとう。結愛は、命の恩人よ」
言い終わった後、香織さんは、私を優しく抱き締めてくれました。
お日様のような、いつもの優しい香りです。
香織さんも泣いてくれてます。
その香織さんに、私は身体を埋めました。
そして、少したってから、香織さんは私から離れます。
「それに結愛、秋人と百合花にすごく好かれてるよ。明日、頑張って母さんのバースデーケーキ店長さんと、一緒に作ってくれなきゃ!」
香織さんは、私の手を包むようにして両手で握ってくれました。
優しい眼差しで、私を見てくれてます。
でも、私は、その眼差しを受けるのがすごく辛くて、うつむいてしまいました。
「ほら、結愛!元気だしてよ!いつもの結愛らしくないよ!器械体操で、インターハイで三位を取ったぐらいのすごい選手なんだから!」
「私は、それを、ズルしてるんです・・・」
「あ・・・・」
私が、そう呟いた後、香織さん、しまったという顔をしました。
そうです。
私は、普通の、女子高校生ではないんです。
「だから、私、それをしたから、他の選手さん達に悪いから・・・」
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