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「なあ、結愛?」
「はい?」
昂揮さんが、何かひらめいたかのように私に話しかけました。
「この事さ、俺と香織しか知らないんだよな?」
あっ!
そういえばそうですね・・・。
報告しためぐみさんを、除いては。
「じゃあさ、この事、内緒にして知らなかった事にしようぜ!」
「えっ?!」
「だから、今までの事、なかった事にするんだ!なあ、香織!」
「あ!そういえばそうじゃない!」
香織さんも同じように昂揮さんに賛同します。
「そうよ!なかった事にしよう!スマホだって、結愛に渡しといたらいいんだから!」
それを聞いて、私は確かにそうだと思いました。
めぐみさんには、テロリストたちをのした事しか報告してません。
だったら、今までの私の告白を話してなかった事にしたら、私は強制送還されずにすむかも!
私は、暗闇の中に、一点の光明を見つけたように思いました!
そうです!
そうすれば、みんなと別れずに済みますッ!
「あ、あの。昂揮さん、香織さん。そしたら、この話、聞かなかった事にできますか?」
私が、恐る恐る聞いてみると、二人は満面の笑みで私に、
「うん!そうそう!私さぁ~結愛にスマホ届けにきたんだよね~。じゃあはい、これ!」
と、少しおどけながら私にスマホを渡してくれます。
心なしか、香織さん、嬉しそうにしてます。
私は、それを丁寧に受け取り、少し涙目でお礼を言いました。
「じゃあ、結愛。これは、三人の秘密にすることにして、結愛は明日、『リヒテンベルク』で頑張るように!」
昂揮さん、私を励ますように言ってくれました。
私は、涙目で微笑みながら、頷きました。
正直に言って、これで助かったって思いました。
そしたら。
「話は済んだか?」
「え?あ、ああ。済んだよ・・・・・!」
昂揮さん、この声を聞いてハッとなります。
私も、この声に鋭く反応しました。
香織さんも、驚いた顔をしています。
三人は、顔を見合わせ、声のした方を向きます。
「ふう!とりあえず、一件落着だな」
背伸びをしながら、私たちの前に現れた女性。
あわはわ。あわはわ。あわはわ。
私は、前みたいな、蛇に睨まれたカエルさんになってしまいました。
「三人とも、ごくろうさま」
ニッコリと笑顔を向けます。
その女性は。
めぐみさんだったんです。
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