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「ふう。とりあえず、結愛が説明しくれたおかげで、手間がはぶけたが・・・・どうした?」
俺は、めぐみ姉ちゃんと結愛の間に入るように、香織と手を繋いで壁を作った。
後ろでは、あわはわと、結愛が、怯えている。
絶対に絶対。結愛を渡してなるものかと思い、俺も香織も、めぐみ姉ちゃんをにらんでる。
「めぐみさん!」
「何だ?」
香織が叫び、めぐみ姉ちゃん、キョトンとしながらそれに答える。
「結愛、連れてくの?」
「は?」
「結愛を、強制送還させるのかって聞いてるんです!」
キッと、めぐみ姉ちゃんをにらむ香織。
「そうだ!結愛を連れてくたって、俺たち結愛の正体なんて知らないし、連れてく理由なんてどこにないからな!」
「そうよ!そうよ!」
二人揃ってベタな嘘をついて、抵抗する。
めぐみ姉ちゃん、それをしばらく見ていて、ふぅ~とため息をつきながら、めんどくさそうに頭を掻きながら、
「ああ、わかったわかった。とりあえず、二人とも座れ」
と、言ってから先にめぐみ姉ちゃんが、座る。
俺と香織は、それを警戒しながら見てる。
で、めぐみ姉ちゃん、うん!と呻くような声を出し、俺と香織に座るように促す。
俺と香織は、顔を見合わせた後、渋々と座る。
後ろでは、おっかなびっくりした結愛がめぐみ姉ちゃんを警戒しながら見ている。
「結愛?」
と、めぐみ姉ちゃん。
「さっきの説明だけどな」
「は、はい」
怯えながら返事をする結愛。
「少し間違ってるぞ」
「え?」
「結愛、私は言ったよな。インターハイの三位はお前の実力だって」
険しい目つきでにらむように見るめぐみ姉ちゃん。
結愛はその表情に少しビクッとなる。
「え、あの、その、あわはわ。あわはわ」
いつものパターンで慌てる結愛。
「めぐみさん、結愛は普通の人より身体能力が優れてるでしょ?だから」
「それは、結愛の自我と感情が目覚める以前の話だ」
『えっ?』
俺と香織の声がハモる。
「ためしにな、結愛」
めぐみ姉ちゃん、懐からスーパーボールを、取り出す。
あ!
めぐみ姉ちゃんの十八番の得意技。
リフレクト・ボールだ!
「こいつを、とってみろ」
そのボールを、見せたあと、少ししてから、リフレクト・ボールを行う。
トン!
テン!
トーン!
はしっ!
結愛は弾道を計算し、上手に掴んだ。
俺と香織、小さな歓声を上げて拍手。
照れる結愛。
うーむ。
とりあえず、俺には無理だ。
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