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「よし、結愛、お前がやってみろ。標的は自分で受け止める事」
と、結愛に促すめぐみ姉ちゃん。
当然、結愛は戸惑っている。
仕方なく、やることにして、壁を見ながら、何かを計算しているようだ。
その表情を見ためぐみ姉ちゃん、キッとなり、
「今すぐやれ!」
怒鳴り声一声!
結愛は、あわはわとスーパーボールを同じように投げた。
ドン!
デン!
ズドン!
轟音とともにスーパーボールは、弾道を誤り、ソファークッションの間にめり込むように撃ち込まれた。
俺と香織、目を丸くしてそれを見つめてる。
「こういうことだ」
は?
どういうこと?
俺は訳がわからず首を傾げる。
香織も同じく。
「結愛、お前、弾道の計算せずに慌てて投げたろう?」
「は、はい」
震えた声で答える結愛。
「結愛が弾道を計算しようとする前に、慌てさせて投げさせたからな」
「・・・・・」
「だからもし、結愛が落ち着いて計算してからリフレクト・ボールをしたら多分、同じように自分で受け止めたろう」
俺と香織も少し納得。
「香織?」
「は、はい」
「結愛、部活の練習の時、綺麗に演技をしていたか?」
「え?」
「後転とびのとき、勢い余って壁にぶつかったりしなかったか?」
言った後、ニヤリと笑うめぐみ姉ちゃん。
香織は少し考えた後。
「えーと、・・・・あっ!!」
「どうだ?」
「はい!結愛、いつも勢い余って、壁にぶつかったりしてました!」
その言葉を聞き、俺も思い出した!
いつだったか、結愛、男子の鉄棒に興味があったらしく、車輪の真似事をしていて、回りすぎて、そのまま、マットに叩き付けられた危ない過去を持っていたのを思い出した。
あれは、まるでマンガのような出来事だったから。
だから結愛が練習の時。
必ず、進行方向にマットをかけることにしていた。
「結愛の身体は、もともとは前の人格の結愛の身体で、今の結愛の身体じゃないんだ」
は?
今の結愛って?
「簡単に説明すると、その身体を使えるマインドコントロールされた結愛の人格が消えてしまい、本来の結愛がその身体の持ち主に変わってしまった。という訳だ」
・・・・?
結愛が?
二人?
まあ、なんとなくわかった・・・気がした。
「そして、本来の結愛が目覚めた時、人並み外れた身体能力の身体を手にしてしまって、今みたいに、苦労している、という訳だ」
めぐみ姉ちゃん、結愛の頭をポンポンと撫でる。
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