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「お箸をつかうのだって、最初は力加減がわからず、泣きながら練習しただろう?」
確か、結愛、俺と香織と食堂でご飯を食べる時、「一生懸命練習しました!」って笑顔で言ってたのを覚えている。
「自分を責めるの止めるんだ。結愛は、ちゃんと、正々堂々、器械体操をやっていたし、勉強もちゃんとしてるし、後ろめたい事なんて、何一つしていない。誰も責めることなんてできないんだから、自分で自分を責めるのは止すんだ!」
香織から結愛を引き寄せ、結愛の両肩をガシッと掴むめぐみ姉ちゃん。
「めぐみさん・・・・・」
「それに、結愛の正体が昂揮たちにバレた事は、私も黙っておくし、報告しない」
めぐみ姉ちゃん、微笑みながら、
俺達の方を向く。
俺と香織、顔を見合わせ、素直に喜ぶ。
「結愛がもし、どうしても後ろめたくて器械体操を続けたくないのなら、香織のいうとうりにして辞めればいいから。好きにすればいい。でも、自分を責めるのはもう止めような」
結愛、とうとう、泣き出してしまった。
うつむき、ボロボロと、涙を流しながら。
めぐみ姉ちゃん、結愛をあやすようにして優しく抱き締めた。
力強く、結愛の悲しみが癒えるように。
一体。
どれだけ、経ったのでしょう?
私が、めぐみさんの胸で泣き続けたのは。
今も、めぐみさんに甘えて、胸の中で埋まってます。
めぐみさんの優しい心に甘えてます。
さっきの言葉で。
心にあったモヤモヤが少し晴れた気がしました。
「で、結愛。1つ質問したいのだが、バスに突入したとき、テロリスト達を力加減せずに、思いっきりぶちのめしただろう?」
私の身体がビクリと痙攣を起こすように反応しました。
そうです。
思いっきり、やってしまったのです。
香織さんを助けるため。
これ以上、犠牲者を出さないようにするため。
無我夢中で、暴れました。
記憶では。
テロリスト達全員を、バスの窓から、めぐみさんの必殺技、左後ろ回し蹴りで外に蹴り出して、ビルの看板に叩き付けたのを、・・・覚えてます。
あわはわ。あわはわ。あわはわ。
身体が。
震えます。
もしかして・・・。
やりすぎたから、叱られるかも。
もし、そうなったら。
正座四時間じゃスミマセン。
「そのおかげでな」
声に。
感情がこもってません(涙)。
これは、本当に怒ってます(恐怖)
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