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彼女がドアを開くと中から何とも言えない異様な雰囲気が漂って来る。
その中に足を踏み入れる勇気は景壱にはなかった。
「誰が居るんですか?」
思わず景壱が尋ねるとシャルロッテは「友達です」と小さな声で言うだけでそれ以上答えない。
「この感じ……。人じゃないな。妖怪かそれ以上の存在だ」
そう言って店長はずかずかと部屋の中に入る。
勇気を振り絞り景壱が中に入るとベッドで一人の男が寝息一つ立てずに横になっていた。
「ひ、人だったですよね。この人を助けて下さい」
「いや、人じゃない。妖気をあんまり感じない俺がびんびん感じてるんだからな。何が人に化けて……」
「……麒麟(きりん)、です」
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