山に散る花火

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「良いじゃん。ほっとけば。それで、この山で人は襲われる事はないし、あいつも、それで満足するんでしょ」 それを聞いて景壱は黙って居られなかった。徳善の気持ちを知っていたから尚更に。 「秋穂さんの妖怪を恨む気持ちも分かります。でも、そんな事言わないで下さい。秋穂さんと同様に徳善さんも苦しんでるんです」 気に障ったのか秋穂は鋭い目付きでこちらを睨み付けると「あっそ」と言って何処かに行ってしまう。 彼女の後を追おうか悩んだが、今は自分の言葉を聞いてもらえないだろうし、山姫に出会ったとしても彼女の力が有れば逃げ切れるだろうなと思い、やはり徳善を探す事にした。
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