山に散る花火

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秋穂の力だけで山姫に叶うはずがない。 反撃されればただではすまないだろう。 既に送り狼が彼女を助けようとしている様だが間に合うだろうか? あれこれ考えていたが、その思いと裏腹に山姫の手は徳善の首から引き離される。 それを見て景壱は一つの可能性を見出だしていた。 「徳善さん! 俺が山姫を引き付けます。その隙に彼女の心を読んで見て下さい」 「何を言ってるんだ。彼女の心はもう……」 「彼女は俺の力に反応しました。だから、まだ心は有る筈なんです!」 景壱の言葉を聞いて驚愕した様な表情を浮かべ、徳善は立ち尽くしていた。 そんな彼の背を秋保は叩く。 「しっかりしなよ。本当なら妖怪に力なんて貸したくないけど協力してあげるからさ」
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