山に散る花火

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「今まで彼女の心を読もうとは思わなかった。友人の心を読むなど失礼な行為だと思ったからだ。でも、違ったんだな……。目の前に居る情けない自分が、それをさせなかったんだな……」 俯き気味に彼が呟くと、空間がガラスの様に砕け散り、辺りは柔らかな光に包まれる。 そこには、もう情けない自分は存在しなかった。 「もう大丈夫。お前なら出来るだろう」 何処からか聞こえる自分の声に励まされ徳善は頷く。 彼が我に返ると景壱が足下に倒れており、送り狼と秋穂が山姫と戦っている様である。 静かに目を閉じ徳善は山姫の心を読もうとする。
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