『文』

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だが、受信拒否をしてもメールは止まらなかった。 毎日、同じ時間にメールが届く。 拒否しても相手はアドレスを変え、私の携帯にメールを送ってくる。 内容はいつも同じ。 『一緒に楽しんだ』と、いう報告と感想。 いつの間にか、苛立ちが恐怖に変わっていた。 もしかして、相手は『私』だと認識して送っているのか? これは、私に対する嫌がらせなのか。 仕事でトラブルがあった人がいたか? それとも、学生時代の友人? 色々と思考を巡らせるが、思い当たる人は見付からない。 私は最終手段として、自分のアドレスを変えることにした。 こちらが変えてしまえば、流石にもう届くことはないだろう。 翌日、案の定メールは届かなかった。 私は、久し振りにゆっくりと眠りにつくことができた。
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