第四章 可能性の欠片

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はい、こんにちは。桂木春と申します。悪魔になって二週間が経ちました。五月の上旬で、そろそろ陸上競技会というイベントが控えています。そんなことより・・・・・・今結構ピンチです。何故かと言うと・・・・・・。 「悪魔は死ね。俺達人間のために」 喉元にでかい剣を突きつけられてる。なんでこうなったんだ? 遡ること一時間前、時計は八時を回っていた。 「・・・・・・寝坊だぁ!」 白は? 朝ごはん食べたのか? やばい。やばい! 今日は早く行って魔法の使い方を教えてもらおうと思ってたのに。 テーブルの上にパンとジャムが置いてある。よし、白は食べたんだな。って遅刻する! ああ、こういう時に限って靴下が揃ってねぇ。やべぇ、携帯部屋に忘れた! 八時・・・・・・二十分だと。もう駄目だ。いや、今の俺は悪魔じゃないか。全力で走れば間に合う。 家を出て思いっきり走る。やっぱり体が軽い。これなら間に合いそ・・・・・・にないな。だって・・・・・・全ての信号が赤なんだ。この時間ロスはキツい。 よし、青になった。今の俺のスピードなら信号五つ分くらいなら走り抜けられる! 交差点で誰かとぶつかった。またか! 前もこんなことあったよな? あの時は可愛い女の子どったけど・・・・・・。 「痛てぇな。どこ見て歩いてんだよ」 今度は男だ。なんていうかワイルド? っていう感じの男だ。怖い。凄く怖い。できれば関わりたくないタイプに出会うとか・・・・・・。 「ごめん。ちょっと急いでて」 「ん? ああ。ぶつかったのお前かよ。この時間がない時に男かよ。気にすんな。時間ないんだろ、さっさと行け」 「えっ? ああ。じゃあごめんな」 助かったのか? って急がなきゃ、あと五分しかない! また信号に捕まったよ。あと三分。もう間に合わないか。それと・・・・・・なんで隣にあいつがいるんだ? 俺の全力疾走についてきてるってほんとに人間かよ。 「お前、早いな。ほんとに人間か?」 しかも話しかけられた。答えた方がいいの? いや、でもあれだろ。慰謝料請求するタイプの人でしょ、この人。 「そ、そっちこそ。俺は・・・・・・」 「悪魔か?」 なっ! こいつ、なんでわかったんだ? ていうかこの出会い方をする奴は全員異常者なのか?
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