第四章 可能性の欠片

3/21
前へ
/21ページ
次へ
前の女の子だって教会関係者みたいだし、教会関係者ってことは聖騎士関係者の可能性があるってことだ。 「あはは、さらば!」 逃げる。とにかく逃げる。見たことない制服を着てたからこの辺の生徒ではないと思う。だからバレても問題ない・・・・・・はずだ。 そして教室に駆け込むと・・・・・・。 「転校生の雪城大雅(ゆきしろたいが)だ。しばらくの間、よろしく頼む」 さっきの男が目の前にいた。早いとかそういうレベルじゃないぞ。・・・・・・っていうかやばくね? 「桂木くん、遅刻。早く席につきなさい」 先生に怒られる。先生・・・・・・今はちょっと放っておいて欲しかったな。 「お前は・・・・・・さっきの悪魔!」 ほら、速攻でバレた! 朝ぶつかった奴が転校生とか・・・・・・少女漫画かよ。相手は男だけど。 「えっと・・・・・・よろしく?」 あれ? あいつの姿が消えた? どこ行ったんだ? というわけで今の状況だ。どうしよっか? これ。俺が悪魔だってことはクラスにはバレてるし、この世界じゃ悪魔は殺されても文句は言えない。 「ちょっと待て。俺は契約して悪魔になったんだ。普通の悪魔とは違う」 「関係ねぇ。悪魔は悪魔だ。どんな理由があっても殺す」 うん、わかってたよ。近くに似たような奴いるもん。 「ここは学校だろ。公共施設での戦闘は禁止じゃなかったのか?」 これは聖騎士のルールらしい。ずっと前にテレビで見たような気がする。 「それは聖騎士の話だろ。俺はそんなもんじゃないから関係ない」 剣から変な模様が浮き出た。朝から戦闘開始かよ! 後ろに飛んで距離をとる。この二週間、どんなに頑張っても魔法は使えなかった。つまり、相当死ぬ気でやらなきゃ魔法は使えないって考えた方がいい。 丸腰で武器を持ってる奴と戦うって場面多くないですかね。弱いのにハンデありとか無理あるだろ。 「二人ともやめなさい。雪城くん、聖騎士でないなら武器の携帯は犯罪よ。桂木くんも暴れたら退学にするって去年言ったわよね?」 先生の言葉を聞いて、転校生は武器を消した。あんな魔法があるのか。それとさりげなく思い出したくないことを言ってくれますね、先生は。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加