第四章 可能性の欠片

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昼休み、先輩が教室に駆け込んできた。 「ついに依頼がきたわ」 良くないことってのは連続するらしい。初依頼、このタイミングできたか。転校生────雪城は女子に囲まれて動けないっぽいからまだ平気だけど、いつ襲ってくるかわからない。気をつけなきゃ。 今はそんなことより・・・・・・ 「初依頼って・・・・・・、イタズラの間違いじゃないんですか?」 「これを見ても悪戯だと言えるのかしら?」 先輩の見せてきた紙には一言、助けてください────と書いてあった。 これ絶対イタズラだ。だっておかしいじゃん、悪魔に助けを求めるなんて。 「これ、先輩の自演とかじゃないですか?」 「そんなことしないわ。依頼主は春と同学年だし、あなたがやってみなさい」 「初依頼くらい自分でやってください。俺は家事があるんです」 「私は・・・・・・ほら、あれのせいで動けないわ」 教室のドアには女子が群がっていた。先輩が悪魔だってことは知ってるはずなのにこの人気・・・・・・。当たり前だけど俺とは大違いだ。 「先輩が裏で問題を起こすとかしてませんよね?」 「ちょっと疑い過ぎじゃないかしら。とにかく話を聞けばわかるわ。行ってきなさい」 机の上にさっきの紙を置かれた。その紙には差出人と思われる人のクラスと名前が書いてあった。 隣のクラスの御剣悠(みつるぎゆう)か・・・・・・。聞いたことあるような気がするけど、まあいいか。 「じゃあ行ってきますよ」 「悪魔が人助け? 馬鹿言ってんじゃねぇよ。悪魔は悪魔らしく厄災をばら撒いてろ」 雪城が女子の群れを抜けてこっちに来た。今の言い方、結構ムカつくな。 「どういう意味だよ? っていうかお前には関係ないだろ」 「言った通りだ。悪魔が人助けをしてどうする。魂でも奪うのか?」 「見返りを求めるつもりはないわ。私は有意義な学校生活を送りたいの。これはその為の部活よ」 「まあ、そういうこと。悪魔嫌いのお前にはわからないだろうけどな」 「お前は黙ってろ!」 なんで俺にはこんな強気なんだよ。今朝のせいか? 「じゃあ雪城がやればいいだろ。ほら、この紙の持ち主の所に行けばいいんだ」 ついでに俺に暇ができるんだから万々歳だ。
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