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『よっ、と』
次いで軽いものが床に散らばる音。全員が『小さい古田』に注目していた最中、彼はいつの間にやら部屋を抜け出して待庵周辺の草花を見繕っていたらしい。
そして慣れた手つきで草花を分類し、幾つかを何処からか持ってきた乳鉢に放り込んだ。
「……何しとるん、自分」
動向を見守る芝山の問いに、『小さな芝山』はちらりと彼を見上げる。が、すぐに視線を乳鉢へ戻し、すりこぎで中身を磨り潰し始めた。
『見て分からんのん?薬作ってんねん』
「…はぁ」
すりこぎの音の隙間、どこか面倒臭そうに『小さな芝山』は答える。
話を聞いていただろう高山が、芝山の背中に声を掛けた。
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