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「ちょっ、芝山さん?!」
「え、あっすまん!!」
突然の出来事に衝撃の余り叫んだ忠興と、その声で我に返った芝山の謝罪とで室内の空気が僅かながら戻る。
卓上からの落下を免れた『小さい古田』の周りに、他の小さいのが集う。身を案じているのかと見守る七哲の脳内に、彼等の声が響いてきた。
『でこぴん!』
『でこぴんだ!』
口々に同じ単語を繰り返すその様子は、心配というよりは未知との遭遇に対する感嘆に溢れている。着眼点が違うらしい小さな生体に眩暈を覚えたのは、恐らく一人や二人ではないだろう。
とりあえず、と古田は芝山に視線を向けた。それが行動の真意を求めるものだと理解している緑色は、先程『小さい古田』を弾いた指で自身の頬を掻き苦く笑っている。
「すんません、生意気やなー思うたら、つい」
「貴様…」
正直すぎる申告に毒気を抜かれ、がっくりと肩を落とす年長者。そうしている間にも小さい集団は落ち着きを取り戻したらしく、『小さい古田』が前線へと戻って来た。
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