浅葱者

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いつもと変わらない日常、景色、仕事。 目覚ましの音で一日が始まり、電車に乗って、仕事をし、帰って寝る。 それの繰り返しの毎日。 それがいつまでも続いていれば、生活の変化はないものの、安定した毎日を過ごすことができる。 だけど時代というものは、誰かによって常に変化していく。 それを実感したのは、上司から伝えられたある言葉だった。 私、秋月佐理(アキヅキ サリ)は、大学を卒業し、このAsagi株式会社に就職してから今年で三年目を迎えていた。 Asagi株式会社は、主に月刊雑誌を出版しているが、広告のキャッチコピー制作も取り扱っているものの、ごく小さな会社だ。 しかし現在、雑誌出版会においては、売り上げが低下しつつある。 それは、通信情報技術の発展により、社会の情報やファッション情報などは、全てネットで調べられることが原因の一つでもある。 そして、Asagi株式会社などとあまり名も知り渡っていない会社名で出す雑誌は、あまり手に取ってもらえないのも原因の一つ。 それらの原因のおかげで平成二十五年五月のある日、上司から言われたのは……。  
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