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ほの暗い森の中、遠くに見える蛍を木の根や草に足を取られながら追っていると、少し大きな池がある場所に着いた。
ここは空を森が覆っていないせいで、蛍の灯りが見えにくく、とうとう俺達は蛍を見失ってしまった。
「結局、蛍の群れ見つけられなかったね。」
「……うん………。」
「まぁ、運が悪かったんだね♪でもこんな綺麗なところ見付けられて良かったよ。」
「……本当に……綺麗だね。」
池は、空から降り注いだ光が反射していて、都会の中で暮らしてきた俺達にはとても幻想的に感じられて、ここまで歩いてきた疲れが綺麗さっぱりなくなったような気すらした。
俺達が池の美しさにボーッとしていると、
森の気の影からさっきの蛍が飛んできた。
「あれ?あの蛍、少し大きくね?」
降り注ぐ光の中でそれは、決して蛍の大きさではなく、もはや虫のような形にも見えないのが分かった。
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