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森の中をトゥルの小さな体を追って松田がトテトテと歩き、その後ろを俺が周囲に警戒しながら付いて行く。
少し歩いた頃に俺達の前に、色とりどりの綺麗なキノコの里が見えてきた。
群生しているキノコは俺の腰ほどもあって、ソコに扉や窓が作られていた。
「ツキマシタ!セマイトコロダケドクツロイデイッテネ?」
「いや入れねえよ」
「そうだね……お外で……待ってても良い?」
「シツレイナヤツメ!マツダハマッテテネ?スグニオハナノミツトカヨウイスルカラ!」
そう言うとトゥルは群生キノコの中へと消えていった。
松田は松田でキノコの里の前で座り込んでいる。
「松田、何かされたら危ないからもう少し離れてような?」
「大丈夫……何も……してこないよ……?」
振り返って小首を傾げる松田に俺は頭を抱えた。
俺達のことを誰かに伝えに行った妖精のことを考えると、相手はまだ此方に気を許してないし、敵対する事も充分に考えられる。
ここはもしかしたらの事を考えて少し距離を取った方が良いだろう。
「良いから松田!少し離れよう!槍とか飛んできたら危ないぞ!」
松田の腕を掴み少し強く引っ張った。
「!…やっ!」
逆に引っ張られて松田と一緒に倒れ込んでしまった。
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