最後のメール

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学校へ来た。 本当は行きたくなかったが、 母にさっさと行けと、家を追い出された。 教室に行って、授業を受けて・・。 彼女がいなくなっても、 何事もなかったかのように過ぎていく・・。 不意に、携帯が震えた。 開くとメールがきていた。 〔オクジョウニコイ〕 屋上へ?今、あそこは封鎖されて・・。 ブブブ、・・またメールがきた。 〔コイ〕 すると、何かに引っ張られるかのように 体が動いた。 「うわっ!」 教室を出た。 先生の呼ぶ声が聞こえるが、 どうにもできない。 まるで操られるかのごとく、 屋上へむけて体が動いていった。   ギィ・・。 屋上へ着いた。 だが、誰もいない。 体はもう自分で動かせる。 「・・ーー」 ・・声が聞こえた。 これは、間違えるはずもない。 ーー彼女の声だーー ゆっくりと後ろに振り向く。 だが、その姿を目にした瞬間、 目を見開いた。 綺麗だった長い黒髪はボサボサで、 その髪から覗く瞳は赤く血走っている。 足は骨が折れているのか、変な方向に曲がり、 全身、血まみれの彼女がいた。 「ーー・・」 彼女の名を呼ぶ。 すると彼女は、こちらを睨み付けてきた。 その瞳に宿るのは、ー憎悪ー。 なぜ、そんな瞳で見る? そう思った瞬間、 彼女がこちらに向かってきた。 首に手を当てられ、絞められる・・。 「かはっっ!」 苦しい・・。 どうして、こんなことをする? ぽたっ、ぽたっ・・。 頬に、なにかがあたる。 瞳を開けると、彼女は泣いていた。 苦しそうな顔をして、泣いていた。 「ヒド・・イ、ヒト・・デモ、ソレデモ・・」 彼女はいっそう苦しそうな顔をし、 「ーーアイシテルーー」 そう囁くように彼女が言った瞬間、 風に、空に紛れるかのようにして、 彼女は消えたー。 首に、彼女がいた証を残してー。
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