ミラー

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メールはまだある。 機能が一緒ならいいが、何だか"何か"徐々に近づいて来ている感じもする。 不安に思いながら6通目を開いた。 ……全く同じように思えたが、一瞬違う動きが見受けられた。 口元が何か言おうと開いたような…。 7通目………!? そこには………俺ではない別の男が怯えた顔をしながらこちらを見つめていた。 「な!何なんだよ!これ!」 即座に画面を戻し、勢いのまま8通目を開く。 ………同じ見知らぬ男が見えた。 そして………。 『………タスケテ。』 …そう聞こえた。 スマホを取り落とすと、画面の中で勝手にスライドして次のメールが開く。 『タスケテ!』 更にはっきり言いながら、画面を引っ掻いたり叩いたりしている。 俺は怖くなり、後ずさる。 「何のイタヅラだよ!!」 …………そして、次の、最後のメールに自動で切り替わる。 画面の男がスマホから這い出して来る。 「来るな!こっち来んな!!」 俺は腹這いになって男から逃げようとする。 そんなことは無駄な足掻きとでも言うように、男が必死で俺に向かってくる方が速かった。 「う、うあああああああああああああああああああああああああ!!!」 ついに俺は男に足を掴まれる。 そのままズルズルと引き摺られていく。 「やめろ!!何すんだ!!」 そのまま気を失った。 …………目が覚めると、周りは真っ暗だった。 何も見えない。…いや、目の前に薄明かりが見えた。 そちらに目を向けると、俺が笑っていた。 …違う。"俺の姿"をした別人だ。 俺はあんな笑い方なんてしない。 …さっきの男? 俺の姿をした男が言った。 「…助かったよ、ありがとう。あんたも戻りたいなら、別のヤツを探して入れ替わりな。」 そして、完全に闇に閉ざされた。 俺はわけがわからず、ヤツがいた場所に走ろうとして、何かに当たった。 ……左右前後同じ。ここはまさか……。 "あの男"がいた場所? アイツのように開いてくれるヤツを探さなければならないのか…。 入れ替われる誰かを…。 …………誰か、誰か俺を……………。 『…タスケテ!』
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