第一章

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 休み明けの学校はどうも面倒に感じる。きっとこれは学生の殆どが思うことだろう。 「木暮、おはよう。」 「はよー、ってどうしたのそのクマ。」 「色々あって・・・」  木暮は小学校からの腐れ縁だ。まさか高校も一緒だとは思わなかった。入学して暫くしてから廊下でばったり会ったのだ。お互い、中学から高校への進学の話はしていなかった。 「放課後暇?相談したいことあるんだけど。」 「暇だよ。柚子が相談とか珍しいな。」 「そう?まあ放課後空けといて。」 「ういー。」  木暮はしゃべり方こそ馬鹿っぽくあるが本当は頭の回転がはやかったり人をよく見ていたりする。だからここまで付き合ってこれたんだと勝手に思う。  退屈な授業を全て終え、宿題などをリュックに詰めているとペラペラなスクールバックを肩にひっかけた木暮がこっちに近寄ってきた。 「どこ行く?」 「僕の家でいい?あまり人に聞かれたくないんだ。」 「おう、んじゃ行こうぜ。」  家についてリビングへいく。  リュックをソファーに置き、飲み物を用意しようとしたが麦茶しかなかったのでそれを二つのコップに注いでテーブルに置いた。 「で、相談てなによ?」  こくり、と木暮が麦茶を一口飲む。その音がやけに響いたように感じた。 「目を瞑るとさ、ある人の顔が浮かぶんだ。」 「おう。」 「その人の笑顔を見るとずっと見ていたくなる。でも困った顔は苦手で。一緒にいると、ペースが乱れる。」 「それってさ、その人の事好きなんじゃねえの?」 「・・・は?」  こっちは真剣に相談しているのにふざけたことを言う木暮を睨み付けようと顔をあげると彼は真剣な顔をしていた。 「心臓がぎゅーってなったりしない?」 「・・・・・・する。」 「じゃあきっとお前はその人の事が好きなんだよ。」 「すき・・・なのかな。」 「これからもずっとその人の笑った顔みていたいんだろ?一緒にいたいんだろ?」 「うん。」  「わからないなら今後その人と会うとき自分と向き合ってみろ」と、彼は爽やかな笑顔でしめくくった。  木暮が言った「好きなんだよ」という言葉はパズルのピースが綺麗にはまったようにストン、と心に落ちた。 「いやー、でも柚子にもやっと春がきて嬉しいわ!応援するぜ。」  何だかその言葉がくすぐったくて、でも心が温かくなるもので嬉しかった。
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