第二章

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「わっ!な、なんですか?!」 「ご、ごめん・・・つい!」 「は?」  何だか今日は靖秋さんに振り回されっぱなしだ。  思わず低い声が出てしまった。 「あ、いや・・・・・・どうしたんですか?」 「えっと、ライン・・・交換しない?」  その言葉に思わず靖秋さんの顔を凝視してしまった。  この暗闇だ、凝視したから分かった。彼の顔は何故か真っ赤になっていた。  その顔にムラっときてしまったのは思春期まっただなかの高校生男子だ、しょうがない。 「あの、高木さん・・・」 「あー、こんなおっさんとラインとか意味わかんないよね。ごめんね、忘れて。」  しょんぼりした雰囲気が伝わってきた。  僕は別に嫌だなんて一言も言っていないのに勝手に自己完結してしまった靖秋さんに苛立ちを覚える。 「別に嫌だなんて思いません。むしろ嬉しいです。」 「え、あっ・・・そう?」 「そうです。交換しましょう。」  リュックからスマートフォンを取りだしロックを解除する。暗闇に人工の光が反射した。  靖秋さんも僕にならってポケットからスマートフォンを取りだしフリフリする。  お互い友達の欄に名前が表示された。  それに一歩、彼に近付けた気がして口角があがるのを抑えきれない。 「じゃあ、僕帰ります。ありがとうございました。」 「うん、今日は付き合ってくれてありがとう。またね。」  また、会えるのか。その言葉はそっと内心に留めて車から降りる。  振り返ると靖秋さんが手を振っていた。手をふりかえすのは何だか気恥ずかしくて頭を下げると車が動きだし左折して見えなくなった。
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