第二章

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 翌日、一応相談にのってもらった木暮に昨日の事を言うと自分のことの様に喜んでくれた。 「良かったなー。一安心だわ。」  素直に礼を言うと少し驚いた顔をされたのが腑に落ちない。 「で、送ったの?」  その問いに、すぐに言葉が出てこなかった。  昨日の夜、家で読書をするわけでもなく、勉強をするわけでもなくずっとスマートフォン片手に何と送れば良いかずっと悩んでいた。  高木さんからのメッセージはこなかった。  夕飯も食べずにいつの間にか寝ていた。  身体の節々が痛くて起きたらそこはリビングで慌てたのは記憶に新しい。  何も答えないでいると納得したような顔をして「だよな」と言われた。  わかっているなら聞くな、とは言えなかった。 「そうだ、俺恋人できた。」 「へー、おめでとう。」 「もうちょっと何かないわけ?」  木暮はよく、とっかえひっかえ遊んでいた気がする。  特定の人をつくるわけでもない。所謂セックスフレンドばかりだった。  だからこれでも驚いてはいる、がどうやら顔には出なかったらしい。 「驚いてるよ。」 「ふーん。・・・放課後空けといて。」 「わかった。」  話が一区切りしたところでちょうど朝礼の鐘がなり担任が何時ものように気だるげに教室に入ってきた。 ・・・・・・・  授業が全て終わり掃除、ショートホームルームが終わって号令で締め括られた。  何時かの様にリュックにノートや教科書を詰めていると木暮が軽い足取りでこっちにきた。  僕の目の前の座席に、背凭れを腹に当てるように此方を向いて落ち着いた。 「教室でいいの?」 「ん、気にしない。」  僕の机に頬杖をつき、上目遣いでみてきた。木暮がそれをやっても可愛くない。 「で?」 「あー、どこから話そう。」 「馴れ初めでいいじゃん。」  「だよな!」と、ケラケラ笑いながら話始める木暮は何だか幸せそうだ。 「おれってさ、やんちゃしてたじゃん?」 「うん。」 「幼馴染みの兄ちゃんがいてさ、その兄ちゃんもおれがやんちゃしてたの知ってたんだわ。」  かいつまむと、それを見兼ねた兄ちゃんが説教をしてその兄ちゃんにときめいて、それからアプローチして両想いになり、晴れて付き合う事になったんだとか。  相手が男で思わず親近感を覚えてしまった。  それと同時に包み隠さず話せる木暮を尊敬と、僕にはない素直さがひどく羨ましいという感情がない交ぜになる。
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