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「中総体まであと1ヶ月切ったからな、三年生はベスト8まで行く覚悟で行けよ!」
顧問の平沼先生は厳しい。
バドミントンを遊びでやっていただけの私が
中学で始めたテニス。
やせっぽっちで、
身体が小さい私は体力がなくて
何回もくじけそうになった。
でも
「大島、腕立て伏せして腕力つけて、カバーしろ、お前は俊敏だから イケるぞ!」
厳しい平沼先生に、密かに恋していたわたしは、
がむしゃらに頑張った。
「ヤバイ!練習着、部室に忘れた!」
夕方六時半、
練習が遅くなった上に忘れ物って………
「亜子、めっちゃ汗かいてたじゃん、明日もあるのに、取りに戻りなよ
待っててあげるから。」
同じ三年生の部活仲間と帰宅中だった。
「大丈夫!先帰ってて」
メンドクサイ忘れ物なのに、気分は落ちない。
「わかった、気をつけてね」
まだ、平沼先生がコートに残ってるかもしれないからだ。
わたしは、制服で全力疾走した。
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