小林くんの恋、亜子の恋

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「あ"ぁ!もう、平沼むかつく____!!!」 昼休み、隣のクラスの崎谷に、由美が愚痴っている声が、私の教室まで聞こえてきた。 私は、弁当箱を片付けると みんなより早く歯磨きにトイレへ向かう際、廊下の窓際にいる由美の近くを通った。 「あ、大島さん、ちょっと聞いてよ!」 由美が私に気付くと、 崎谷は助かったと言わんばかりに、その場を離れてどこかに行ってしまった。 「平沼が失礼なんだよ!由美のスカート見て "お前は幼稚園児か。そんなに男にパンツ見せたいか!?"ってお尻叩いたんだよ?」 「……………叩いたの?」 ………意外だった。 部活でどんなに厳しく叱っても、手だけは上げなかったコーチ。 だから、よけい 誉められたくて頑張れた私がいた。 「あと、直也とは、どんな付き合いしてるのか、とか関係なくない?」 由美は 多分、分かってはいない。 「由美ちゃん、もう少しスカート丈下ろしてもいいかもしれない。 目つけられやすいよ。」 中学生を、"子供"だと思わない大人だっている。 この間、現れた露出狂の男のように……… 「今さら、めんどくさいよ、前田みたいに長いのはダサいしさぁ」 由美はフウとため息をついて、ポケベルを見た。 「直也、何してるのかな………」 「………電話かけてみたら?」 男の子は気まぐれ…。 今日の小林くん、ちょっと変だったな……… 明日は、 話せるかな。
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