小林くんの恋、亜子の恋

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「大島っ」 昼休み まだ弁当のパンを食べていると、 小林くんが汚い手を見せびらかすように近付いてきた。 「なに、その手… ってかクサッ!」 シンナー臭さが、食欲を減退させる。 「今、落書き落としてるんだよ、シンナーと油絵の具だから落ちねーの、 お前、放課後ヒマなら手伝って!」 一緒にお弁当を食べていたテニス部の子たちが顔を見合わせている。 「ヒマじゃないわよ、部活あるんだから」 「へえ、お前、なんかやってんの?」 「テニス」 「マジ?意外!じゃいーわ」 何が" 意外 "かよく分からないけど… 私、暇人と思われてる? 小林くんは、クラスメートのヤンキー仲間にからかわれながら、 また美術室の方へ向かって行った。 「……………」 手伝って……あげたいな。
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