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「崎谷くん、風邪はもういいの?」
一時間目が終わった頃に登校してきた崎谷に、
廊下ですれ違いざまに声をかける。
「まだ調子ワリィけど、家、母ちゃんうるせえから学校出てきたさ。」
確かにまだ鼻声の崎谷くんは、教室に入ろうとした私の肩をグイッと掴んできた。
「おまえ、祐紀さんとチューしたか?」
「え」
ばかじゃない?と返したいところが、まだ未経験女子の弱いところ、
顔がカァァ!と赤くなるのが自分で分かった。
「そ、そんなんじゃないから」
私を" 大人"だと称した祐紀さん、
何を考えているのか分からない。
「祐紀さん、超モテモテだったのによー、
中学、高校途中まで、いっつも前田みたいな取り巻きに囲まれてやりたい放題だったはず」
「やりたい放題……」
今の祐紀さんからはイメージできない。
「やりすぎてガキに興味持ったかな、サイクルして次はババア路線いくかもな!」
崎谷って、やっぱり品が最低ラインのヤンキーだ。
「もう、教室入りますけど―……」
「あ、おい…早馬と杏ちゃんはどうなった?」
私が
触れたくない部分………
崎谷は気になって仕方ないようだ。
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