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「そぅま!!」
杏の、悲鳴に近い制止の声が俺の横で聞こえたかと思ったら、
平沼の顔を殴った際、
杏も、
廊下の床に倒れてしまっていた。
「杏ちゃん!」
由美が駆け寄ってくる。
俺が殴ったはずの平沼は杏のせいで、かすられただけの左頬を、
険しい顔してさすっていた。
「小林…………」
ガツ!!
今度は、直也が平沼を跳び蹴りし、
奴は確実に倒れた。
「変態教師がっ!」
崎谷も倒れた平沼の背中に唾を吐いて、
「暴力はいけません!」
杏の叫ぶ声で、職員室から他の教師たちが、何事かと飛び出してきた。
「平沼先生!!大丈夫ですかっ?」
……俺は、
俺らは、逃げなかった。
一番、悪いと責められるのは、
平沼に違いないと、信じていたからだ。
「おまえ等、警察呼ぶぞ!」
平沼の " 裏の顔 " を
みんなに暴けるかと思ったからだ。
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